屋根のカバー工法(又は重ね葺き・カバールーフ工法という)とは!
屋根の『カバー工法』とは、現状の屋根の上に、ルーフィングと新しい屋根材を貼る施工方法です。
別名『重ね葺き』『カバールーフ工法』といわれる事もあります。
屋根材(下地)を一度剥がして張り替える『葺き替え』の工事を行う場合は、剥がす時の手間と費用がかかります。
現状の屋根材が2004年以前に製造された『スレート屋根(カラーベスト・コロニアル)』の場合は、人体に悪影響を及ぼす「アスベスト(石綿)」を含有している可能性があり、屋根材の処分費が高額になってしまいます。
前者に比べて、解体工事が必要ないので『カバー工法』は、短期間に低コストで屋根のリフォームできることから支持を集めています。
カバー工法=スレート屋根にガルバリウムなどの施工がメイン
カバー工法は、主に『スレート(カラーベストコロニアル)』や『軽量金属屋根(板金屋根)』などのような平な素材の屋根材の上からであれば、施工ができます。
特に『スレート屋根(カラーベストコロニアル)』の上に『ガルバリウム鋼板』を被せるパターンが多いです。
ガルバリウム鋼板の他に『アスファルトシングル』や『ジンカリウム』などを使用するケースもあります。
瓦風の見た目に仕上げたい時は、ケイミューの軽量瓦『ルーガ』で施工できます。
屋根のカバー工法(重ね葺き)の価格と単価は!
屋根のカバー工法リフォームの際にかかる費用は、1㎡あたり1千~1万2千円くらいが相場です。
(※別途、作業時に必要になる足場代が17万円前後(建坪30坪の2階建て)かかる場合があります。)
屋根の大きさや形状よって価格は変動しますが、最終的には合計で90~280万円になると考えておくとよいでしょう。
なお、工事内容のおおよその内訳は、以下の通りです。
・コンパネ・野地板など(施工手間込)
(※下地が劣化している場合は必要) 1,800~3,000円/㎡
・防水シート
(下葺き・ルーフィング) 600~1,800円/㎡
・新設屋根材の施工
(スレート・ガルバリウムなど) 7,000〜13,000円/㎡
・ケラバ、軒、棟板金・雪止め金具 4,000~13,000円/㎡
・足場費用 800~1,700円/㎡
屋根のカバー工法のメリット!
① 断熱性・遮音性・防水性が向上する
現状の屋根と新設の屋根の二重屋根になるので、断熱性・遮音性・防水性がアップします。
② リフォーム費用が安い
カバー工法は、現状の屋根の上に新設の屋根材を重ねる工程の工事なので、古い屋根材を撤去するための人件費・廃材処分費が発生しません。
そのため「葺き替え工事」の場合と比べると、屋根のリフォーム工事にかかる費用が安く済みます。
③ 工期が短い
屋根の葺き替え工事の場合は、古い屋根を取り外す際に養生をしますが、カバー工法では工程が短縮できます。
概ね、屋根の葺き替え工事の場合は工事期間が8~25日程度かかりますが、カバー工法であれば約3~12日でカバー工事が完了します。
④ 騒音やホコリでの近隣トラブルの減少
古い屋根材を撤去する際には、騒音やホコリによって、近所とトラブルになってしまう場合があります。
カバー工法であれば、工事中に騒々しい音やチリが発生するリスクが少ない上、工期が短いので、近隣の方にあまり迷惑をかけずに済みます。
⑤ アスベスト問題にも対応
2004年以前のスレート屋根(カラーベストコロニアル)の材料には、がんの原因になりやすいアスベスト(石綿)が使用されていました。
現在では製造・販売が中止になっていますが、まだ既存建物の多くの屋根にアスベスト材が含まれる建物も残っています。
葺き替え工事を行うとなると、アスベスト入りの屋根材の処分費用が高額になり、また解体時にアスベストが近所に飛散しないよう対策も必要です。現在では施工する人と調査する人の資格も必要になってきています。
カバー工法なら、屋根材を処分することなく施工できるため、安心と言えます。
屋根のカバー工法のデメリット!
① 修繕費に火災保険を活用したい場合は不向き
強風や雪・ヒョウの影響で破損してしまったり、雨漏りしていたりする場合に、火災保険を利用して屋根を修繕する方も多くいます。
ただし、カバー工法では申請できない可能性が高いです。
火災保険の対象となるのは、原則として『雷や強風の被害に遭わなかった場合の状態へ戻す』ための工事だからです。
雨漏りしている場合は、下地が痛んでいる可能性が高いので、葺き替え工事をおすすめします。
② 耐震性が低下するかも!
カバー工法は屋根全体の重量が増えてしまうため、耐震性能が少々低下します。
とは言え、戸建て住宅に多いスレート屋根に、軽量な金属屋根材でカバー工法を行った時の総重量は、1㎡あたり約23~26kg程度です。
昔ながらの住宅で見られる瓦屋根(約65kg/㎡)と比べても、カバー工法でリフォームした屋根のほうが軽いと言えます。
多くの住宅は問題ないと考えられますが、少し古い建物は検討の余地があるかもしれません。
③瓦屋根には、対応が難しい
既存屋根の上に、平らな素材(金属屋根材など)を固定するのがカバー工法の方式です。
ですので、波型の形状の屋根や、厚みがある屋根材の上には、施工することが不可ため、陶器やセメントで作られた瓦の屋根は、カバー工法にはNGです。
カバー工法より葺き替え工事が良い場合とは?
次ののような場合には、葺き替え工事のほうがよいでしょう。
・瓦(陶器やセメント)など厚みや波がある屋根で、新設屋根材を施工するのが困難な場合
・腐食などで下地が劣化・損傷している場合(雨漏り等)
・リフォーム費用に火災保険を活用したい場合
・長い期間にわたる耐久性・耐震性を求める場合
まとめ
ご家庭の屋根をリフォームする場合はこの先も長期にわたって住み続ける建物か、リフォーム、修繕の予算はどのくらいまで用意できるかを決めておき、予算にもよりますが最適な工法や商品で施工してもらうよう、リフォーム会社に良い提案をしてもらいましょう。